こんにちはめいです。高校の国語の教員をやっていました。今日は、読書感想文の書き方について解説します。
ぶっちゃけ読書感想文は、書くポイントさえおさえていれば全文を読まなくても書けます。今回は「走れメロス」が課題図書だった場合を想定して解説します。
【例文あり】読書感想文の書き方を元教員が解説する
読書感想の基本的な構成
読書感想文の基本的な構造は以下の通り。
簡単な物語の説明 (文字数は全体の1割) 印象に残ったエピソードとその理由(文字数は全体の5割) 自分の経験に引き寄せる(文字数は全体の2割) 読書の内容をこれからの生活にどう生かすか(文字数は全体の2割) |
指定された文字数に応じて、それぞれどのくらいの文字数を割くのかを事前に考えてから書きましょう。
先に文字数を割り振っておくことで、
「あと200字足りない!」
みたいなことを防ぐことができます。
物語の内容を簡潔に書く。
まず、物語の内容を簡潔にまとめます。これは読書感想文全体の1~2割くらいに収まるといいです。
「走れメロス」だったら
王に処刑されることになったメロスが、友達を人質に3日間の猶予をもらいます。メロスが友達を助けるために必死に走る姿が印象的な話です。
課題図書が設定されている場合は、先生もその課題図書の内容は知っているので、このパートを飛ばしてもいいです。といった感じになります。
どんな本を読むかを生徒が選べる場合は、先生にどのような話だったかわかるように物語の説明を簡潔に行います。
印象に残ったエピソードとその理由
次に、物語の中で特に印象的だったエピソードとその理由を書きます。
まず、エピソードの書き方としては
この物語の中で一番心に残ったのは○○という場面です。 この登場人物の「○○」というセリフに感動しました。 |
という感じです。
例えば走れメロスで考えると
この物語の中で一番心に残ったのは、メロスが一度諦めかけたけれど、また走り出した場面です。
というような感じになります。場面の説明が長くなりそうなときは一度区切ってもいいです。以下が長いバージョンです。
この物語の中で一番心に残ったのは次の場面です。メロスは走り疲れて倒れてしまい、セリヌンティウスを助けることを一度はあきらめます。しかし考え直して立ち上がり、また走り出すのです。
こんな感じで書きます。次に、その場面がなぜ印象的なのかを書きます。
メロスはとても疲れているはずなのに、どうしてまた走り出すことができたんだろうと考えました。セリヌンティウスがメロスを心から信頼しているということがメロスに大きな力を与えたのだろうと思いました。
人は独りだとくじけやすいけど、応援されたり信頼されたりすることで強くなれます。
といったような感じですね。なんでその場面が心に刺さったのかを、先生にわかるように説明します。
自分の経験に引き寄せる
読書の内容を自分の経験に引き寄せたエピソードも入れるといいです。
私も部活動をやっていて、辛くて投げやりな気分になることがあります。でも試合などで勝ち負けが自分にかかってくるような場面になると、「仲間のために頑張ろう」という気になります。
こんな感じで、自分の経験も交えながら書くと文章に深みが出てきます。
読書の内容をこれからの生活にどう生かすか
最後のしめは、読書の感想をどう生かすかということを書きます。
例えば、走れメロスで書くとしたら以下のような締め方がいいでしょう。
走れメロスを読んで、私もメロスとセリヌンティウスのような信頼で結ばれた関係を築けるようになりたいと思いました。
そのためには、まず自分が相手を信頼することが大切です。相手を信頼し、自分も信頼されるという関係を多くの人と築いていきたいです。
こんな感じで、本を読んだ感想をこれからの生活にどう反映させていくかを書いておわります。
基本的に感想文系のものはこういった形で終わらせると文章がまとまります。
以上で解説したことをつなげると以下のようになります。
走れメロスの感想文の例文
この物語は、王に処刑されることになったメロスが、友達を人質に3日間の猶予をもらいます。メロスが友達を助けるために必死に走る姿が印象的な話です。
この物語の中で一番心に残ったのは次の場面です。メロスは走り疲れて倒れてしまい、セリヌンティウスを助けることを一度はあきらめます。しかし考え直して立ち上がり、また走り出すのです。メロスはとても疲れているはずなのに、どうしてまた走り出すことができたんだろうと考えました。セリヌンティウスがメロスを心から信頼しているということがメロスに大きな力を与えたのだろうと思いました。
人は独りだとくじけやすいけど、応援されたり信頼されたりすることで強くなれます。
私も部活動をやっていて、辛くて投げやりな気分になることがあります。でも試合などで勝ち負けが自分にかかってくるような場面になると、「仲間のために頑張ろう」という気になります。
走れメロスを読んで、私もメロスとセリヌンティウスのような信頼で結ばれた関係を築けるようになりたいと思いました。そのためには、まず自分が相手を信頼することが大切です。相手を信頼し、自分も信頼されるという関係を多くの人と築いていきたいです。
これで500文字くらいですね。
以上が基本的な読書感想文の書き方です。以下は応用編になります。
書くことがなくて困ったら、先生に好まれそうなことを書こう。
読んだけど、別に何とも思わなかった。
読んだけど、内容が思ったよりエグくてこれで読書感想文を書いていいか迷う
こういうこともあります。特に、上は課題図書が決まっている場合、下は決まっていない場合に起こりがちです。
「大好きな本なんだけど、読書感想文を書く本としては微妙だなあ」
ということもあります。特にライトノベルとか。
私は中学校から高校にかけてライトノベルに浸かっていたので、個人的にはライトノベルで読書感想文を書くのはありだと思っています。
その場合は落としどころを先に決めるのです。落としどころとは「その本から何を学んだか」ということです。
ちなみに学校の先生に好まれる落としどころとしては以下のようなものがあります。
命の大切さ 目標に向けて頑張る大切さ 自分で考えて行動する大切さ 人を信じる大切さ |
こういうテーマに無理やりつなげてしまえばいいんですね。
恋愛ものであれば人を愛する大切さ ホラーであれば命の大切さ 戦闘系であれば仲間とともに戦う大切さ |
などなど。
十中八九はこういった「先生が好みそうなテーマ」につなげることができます。
あなたの書いた読書感想文を読んで成績をつけるのは先生です。困ったらとりあえず先生の好みそうなことを書いておきましょう。
文章の長さを調整する方法あれこれ
「あと100文字足りない!」ってなることもありますよね。そういう場合はどうすればいいのでしょうか。いくつか文章の長さを調整する方法をご紹介します。
印象に残ったエピソードとその理由を複数入れる
印象に残ったエピソードを複数挙げるのが、一番簡単な文字数の増やし方です。エピソードを1つ書いた後で、以下のようにつなげます。
もう1つ、感動した場面があります。それは~ |
1つのエピソードにつき200文字くらい稼げるので、これで文字数不足はカバーできます。
主人公以外の人物にも注目する
主人公以外の人物にも注目すると、感想が深いものになります。
例えば「走れメロス」の場合はディオニス王に注目してみてもいいでしょう。
ディオニスは暴君と書かれていますが、とても苦しんでいるように見えます。本当は周りの人を信じたいし、平和を望んでいる人物です。人は信じられないと思いながらも、どこかで人を信じたいと思い、その2つの考えに苦悩しています。メロスははセリヌンティウスを救うために走ったことで、結果的にディオニスも救ったのです。
こんな感じでディオニス王の分析をして、最終的にメロスとセリヌンティウスの信頼がディオニスも救ったという形にもっていけばいいです。
自分の経験を詳細に書く
読書の内容を、自分の経験に引き寄せて書こうという話をしました。自分の経験をどのくらい詳細に書くかで、文章の多さを調整することができます。
上の例では
私も部活動をやっていて、辛くて投げやりな気分になることがあります。でも試合などで勝ち負けが自分にかかってくるような場面になると、「仲間のために頑張ろう」という気になります。
という感じで比較的さらっと書いていますが、これを詳細に書くとこんな感じになります。
人は独りだとくじけやすいけど、応援されたり信頼されたりすることで強くなれます。
私も部活動をやっていて、練習などが辛くて投げやりな気分になることがあります。
でも団体戦などで、自分が負けたら他のチームメイトに負担がかかってしまう時などは負けられないです。特に自分が負けたらチームの負けが決まってしまう場合は「チームのために絶対に負けられない」という気持ちになります。そういう時のために今の辛い練習があると考えると、投げやりな気持ちを抑えて前向きに練習に取り組むことができます。
という感じで、倍くらいに伸ばすことができます。
自分の感想につっこみを入れてみる
自分の感想につっこみを入れることも文章量を増やすのに有効です。
今回の場合だと、「メロスとセリヌンティウスの信頼」というところにつっこみを入れてみるのです。
やみくもに人を信頼するのは危険だという意見もあります。セリヌンティウスはメロスを信頼したばかりにもう少しで殺されるところでした。大切なのは、信頼できるかどうかをしっかり見極めることです。
セリヌンティウスもメロスは信頼に足る人物だと思ったからこそ、人質になることを受け入れたのだと考えます。
このように、最後には自分の言いたいことに戻す必要があります。
文字数を長くしたバージョンの読書感想文
王に処刑されることになったメロスが、友達を人質に3日間の猶予をもらいます。メロスが友達を助けるために必死に走る姿が印象的な話です。
この物語の中で一番心に残ったのは次の場面です。メロスは走り疲れて倒れてしまい、セリヌンティウスを助けることを一度はあきらめます。しかし考え直して立ち上がり、また走り出すのです。メロスはとても疲れているはずなのに、どうしてまた走り出すことができたんだろうと考えました。セリヌンティウスがメロスを心から信頼しているということがメロスに大きな力を与えたのだろうと思いました。
人は独りだとくじけやすいけど、応援されたり信頼されたりすることで強くなれます。
私も部活動をやっていて、練習などが辛くて投げやりな気分になることがあります。
でも団体戦などで、自分が負けたら他のチームメイトに負担がかかってしまう時などは負けられないです。特に自分が負けたらチームの負けが決まってしまう場合は「チームのために絶対に負けられない」という気持ちになります。そういう時のために今の辛い練習があると考えると、投げやりな気持ちを抑えて前向きに練習に取り組むことができます。
やみくもに人を信頼するのは危険だという意見もあります。セリヌンティウスはメロスを信頼したばかりにもう少しで殺されるところでした。大切なのは、信頼できるかどうかをしっかり見極めることです。
セリヌンティウスもメロスは信頼に足る人物だと思ったからこそ、人質になることを受け入れたのだと考えます。
ディオニスは暴君と書かれていますが、とても苦しんでいるように見えます。本当は周りの人を信じたいし、平和を望んでいる人物です。人は信じられないと思いながらも、どこかで人を信じたいと思い、その2つの考えに苦悩しています。メロスはセリヌンティウスを救うために走ったことで、結果的にディオニスも救ったのです。
走れメロスを読んで、私もメロスとセリヌンティウスのような信頼で結ばれた関係を築けるようになりたいと思いました。そのためには、まず自分が相手を信頼することが大切です。相手を信頼し、自分も信頼されるという関係を多くの人と築いていきたいです。
これで900字くらいです。元は500字だったので、400字プラスできました。
読書感想文は自分の考えを深めるいい機会
読書感想文は自分の考えを深めるいい機会です。
自分のことってよくわからないですよね。でも読書感想文を書くことで、今まで気が付かなかった自分の感情を発見することができます。
「あれ、私こんなこと思ってたんだ・・・」
みたいな。
怪しい心理テストなどで「自分とはどういう人なのか」を探るよりは、読書を通して自分と対話した方が新しい発見が多いです。
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